どんな建物でも使っていくうちに劣化が進みますが、そこで気になるのが外壁塗装の必要性です。
家は、外壁に関わらず壊れれば修理が必要ですし、古くなったものを新しく更新したりと維持やメンテナンスに相当なお金がかかります。
それであれば、見た目がちょっと悪いくらいなら外壁のメンテナンスはなるべくしたくない、もしくは後回しにしたいと考えがちです。
この記事では、外壁塗装をしないで放置した時に起こりうる不具合と、外壁塗装が必要な時期の見極めの仕方などを中心に解説していきます。
・なるべく外壁塗装をしない方法
・外壁塗装を検討する時に大切なこと
目次
「外壁塗装は必要ない」は大きな勘違い
結論から先に言いますと、日本の住宅で使われている外壁材のほとんどは、定期的な外壁塗装を必要としています。
その為、外壁塗装が必要なタイミングになっても放置し続けることは、長く住む家の寿命を縮めてしまったり、外壁塗装の費用だけでは済まない修繕費用が必要になってしまったり、悪影響を及ぼす可能性があります。
詳しく解説していきます。
外壁塗装をしないことが危険な5つの理由
外壁塗装が必要な時期になっても放置し続けることによって起こる、5つの不具合をご紹介します。
1.カビやコケが生えて悪臭の原因になる

外壁は、常に紫外線や風雨に晒されている為、塗料の油脂成分が徐々に劣化して減っていきます。
表面のコーティングが無くなってしまうイメージをしてもらうとわかりやすいと思います。
その状態になると、色あせていき、艶がなくなってきます。
見た目が悪いだけなら我慢できると思われるかもしれませんが、その状態になると外壁材が水分を吸収しやすくなりますので、カビやコケが生える可能性が出てきます。
外壁が水を弾いてくれる機能が残っていれば、水洗いをすれば取れますが、外壁材が水分を吸収する段階になると、しっかり根を張って繁殖してしまいます。
また、カビは悪臭の原因にもなりますので、ご近所とのトラブルに発展する可能性があることも考慮しておく必要があります。
2.断熱効果が悪くなる

塗装が劣化した状態を放置すると、外壁がひび割れを起こすことがあります。
軽微なものであれば、シーリングをして塞ぐことができますが、大きく割れてしまうと外壁材の交換が必要になります。
ひび割れを起こしていると、断熱効果が悪くなりますので、夏は室内が暑くなりやすく、冬は寒くなりやすくなります。
冷暖房効果が悪くなり、電気代が増えてしまうなどの悪影響が起こります。
また、最悪な場合は雨水などが侵入してしまい、内側から外壁を痛ませてしまうこともあります。
3.雨漏りが発生する

外壁が水分を吸収したり、ひび割れの部分から雨水が侵入して、雨漏りが発生することがあります。
また、屋根の塗装を放置することによって雨漏りになることもありますので、外壁だけでなく屋根にも注意を向ける必要があります。
4.外壁材の交換で修繕費用が高くつく

雨漏りをする状態までになってしまうと、かなり重症です。
外壁材が過度に吸湿してしまうと、建物全体の耐震性が低下してしまうなど、安全性にも問題が発生します。
家は、生活の安定を守る為のものでもありますので、安全性に懸念が出ることは死活問題になります。
外壁材の交換が必要になり、塗装で済むレベルではないくらいの修繕費用が必要になってきます。
30坪の建物で換算して、外壁塗装が約80〜100万円の費用に対して、外壁の張り替えにかかる費用は200万円前後となってきます。
5.最悪の場合は建て替えも

ここまでになることは相当な悪条件が揃わなければ起こりにくいですが、建物全体や基礎部分にまでの劣化が進行してしまうと、家自体の建て替えを余儀なくされてしまうこともあるかもしれません。
そうなると2000万円前後の費用が必要になってきますので、過度に外壁塗装を放置し続けるのはリスクが高いと言えます。
外壁塗装が必要な素材、必要ない素材
日本の住居に使われている素材の99%は定期的な外壁塗装を必要とします。
ほとんどのお家は、「窯業系サイディング」か「モルタル」が使われていますので、仕様書などで確認をされてみてください。
外壁塗装が必要な外壁材
・窯業系サイディング
・モルタル
・金属サイディング
・ALC
・木材系サイディング
・木材
外壁塗装をしなくても良い外壁材
・樹脂系サイディング
・レンガ
・タイル
なるべく外壁塗装をしないで済ませるには

「定期的に外壁塗装をしなければならないのはわかった、でも100万円規模のメンテナンスは大変だよ」
多くの方はそう思われると思います。
なので、なるべく外壁塗装の回数を減らすにはどうしたら良いかを解説します。
劣化が目立たない色で外壁塗装をする
まず一つ目は、劣化の目立たない色で塗装をすることです。
外壁の塗料はある一定の周期で劣化していきますので、建物の保存状態を良好に保てる期間が伸びるという訳ではないので注意が必要ですが、外見で目立たないということはそれだけ心理的にも工事を後ろ倒しすることができます。
原色系を避けて、グレー、アイボリー、ベージュなどの中間色を選ぶと、見た目の劣化を抑えることができます。
耐久性の高い塗料で外壁塗装をする
外壁塗装は、10年に一度などと一般的に言われていますが、選ぶ塗料の種類によっては20年以上もたせることも可能になります。
なので、なるべく耐久性の高い塗料を選ぶことによって、外壁塗装の回数を減らすことができます。
耐用年数の高い塗料ほど値段が高い傾向にあり、同じ塗料でも年数に差が生じるのは使用環境(紫外線、風雨など)や職人の技量の差によります。
主な塗料の種類、耐用年数目安、施工代金の目安は下記の通りとなります。
塗料の種類 | 耐用年数 | 塗料代(1㎡あたり) |
アクリル系塗料 | 5〜8年 | 1,000〜1,800円 |
ウレタン系塗料 | 7〜10年 | 1,500〜2,500円 |
シリコン系塗料 | 10〜15年 | 1,800〜3,000円 |
フッ素系塗料 | 12〜20年 | 3,000〜5,000円 |
ラジカル制御型塗料 | 12〜16年 | 3,000〜4,000円 |
無機塗料 | 15〜25年 | 3,000〜6,000円 |
断熱塗料/遮熱塗料 | 15〜20年 | 5,000〜6,000円 |
外壁塗装の塗料代は、工事代金全体の30%程度ですので、高い塗料を選んで工事回数を減らすというのは、現実的にコストメリットもあります。
具体的に、5年耐久性の高い塗料を選んだだけで、下記のような差が生まれるイメージです。

塗装回数を減らして、トータルの工事費用を下げる方法を検討してみてはいかがでしょうか。
外壁塗装の費用相場の目安を下記の記事にまとめていますので、ご参考にされてみてください。
外壁塗装が必要のない素材に変更する
外壁塗装をしない為にわざわざ外壁材の交換をする必要はありませんが、建て替えなどの大規模なリフォームなどを検討されている場合、外壁材を塗装不要のものに交換してしまうのも選択肢としてアリだと思います。
工事時のコストはかかりますが10年単位で外壁塗装に悩まされなくて済みます。
外壁塗装を検討する上で大切なこと

ここからは、外壁塗装が必要だからこれから検討したいという方向けの内容になります。
外壁塗装の検討タイミングは10年を過ぎたら
ここまでの解説通り、外壁塗装は定期的に必要ですが、10年経ったらすぐにやらないといけないという訳ではありません。
一つの検討開始タイミングとして10年が目安になりますが、出費の多い年に重なってしまうと家計のやりくりも大変になってしまいます。
外壁塗装は時間をかけて少しずつ劣化していきますので、多くの場合は1年、2年は先延ばしにしてもリカバリーすることができます。
(すでに20年以上経過しているなどの場合は除きます)
ですので、10年を過ぎたら外壁塗装をすることを少しずつ意識し始め、タイミングをみて行えればご自宅にとっても家計にとってもベストな判断ができるのではないでしょうか。
外壁塗装が必要かセルフチェックしてみる
早々に外壁塗装が必要か、ご自身でセルフチェックしてみても良いです。
ざっと家の周囲を見渡してみて、下記のようなものがなければ急ぐ必要はありません。
・チョーキング現象(手で外壁を触った時に、粉がつく)
・爪がかかるようなひび割れ
・塗膜の剥がれ、浮き、膨れ
・極端な色あせ
・カビ、コケの発生
外壁塗装で最も大切なことは業者選び
外壁塗装をしようとなった段階で、慌てて業者に依頼してしまうことはしない方が賢明です。
外壁塗装は、リフォームの中でもトラブルが多い工事になります。
理由は、明確な価格設定がなく、工事完了直後には手抜きされていたり、工事不良の箇所を見つけにくく、時間が経ってから発覚することが多いからです。
参考:独立行政法人国民生活センター「販売商法によるリフォーム工事・点検詳報」
その為、外壁塗装を依頼する業者選びがとても大切になります。
素人でも良い業者を選べるようにポイントをまとめていますので、下記の記事をご参考にしていただけると嬉しいです。
まとめ:「外壁塗装は必要ない」と考えるはとても危険
この記事では、「外壁塗装は必要ない」という考えが危険であるということについて解説してきました。
外壁塗装は高額なリフォームで、ほかにもお金を使わなければならない箇所がたくさんあると思いますので、なるべくやりたくないという気持ちは理解できます。
外壁塗装のタイミングがきて、数年程度引き伸ばす程度なら問題ありませんが、ずっと放置してしまうことは家の安全性の低下などにつながりかえって高額な修理が必要になってしまうことがあります。
10年きっちりでやる必要はありませんが、どこかのタイミングで塗り替えることをご検討いたけますと幸いに思います。
最後に、外壁塗装の業者探しをする場合、少なくとも3社程度から見積りを取得して比較検討することをオススメします。
理由は、数社から話を聞かないと、ご自身の家にかかる費用の相場感、必要な工事の内容が見えてこないからです。
数社話を聞くと、似たような内容ながら業者ごとに特徴が出てきます。
営業マンの対応などを見ながら、良い業者探しをすることに時間を割くことが外壁塗装を成功させる最もな近道になります。
3社も業者を探すのが難しい場合は、一括見積りサイトを活用すると無料でご自宅周辺の塗装業者を紹介してもらうことができます。
当サイトでは、ユーザー目線で考えた時に「プロヌリ」を推奨しています。
プロヌリのメリットは、
・完全無料で3社程度紹介して見積りを依頼できる
・業者との日程調整、お断りなど面倒なことを代行してもらえる
・登録業者は事前に面談して、一定基準をクリアしている優良な業者のみ
逆にデメリットは、
・登録業者を厳選している為、地域によっては紹介してくれる業者が少ない場合がある
(この場合は、ほかの見積りサイトを使えば良いだけです。)
必ず契約をする必要はありませんので、まずは問い合わせだけしてみても良いかと思います。
プロヌリについて詳しくは下記の記事で解説しています。
以上、最後まで閲覧いただきありがとうございました。
この記事が、あなたのお家の外壁塗装をするお役に立てたら幸いです。